土木構造物を診断し長寿命化するプロ桑野浩之(くわの ひろゆき) 株式会社共立エンジニヤ 取締役・技術統轄部長
業務技術管理・照査や若手技術者の育成
この業界で40数年、トンネル、道路構造物、橋梁の設計や橋梁・道路構造物補修・補強設計に従事してきました。島根県58災害後に3年間、災害復旧業務にも携わったこともあります。2011年に共立エンジニヤに移籍後は、業務技術管理・照査や若手技術者の育成、会社経営に従事しています。
取材記事
社員が資格をとってくれると嬉しい
「本当は建築家になりたかったんです」と若き日を振り返る桑野さん。自分で建物を設計・デザインしたいと高校生の時に心に決めて建設工学科のある大学へ。ゼネコンへの就職も模索しましたが、コンクリートが面白そうだと方針転換し八雲建設コンサルタント(現・エイト日本技術開発)に就職しました。当時、コンクリートはメンテナンスフリーと言われていた時代。しかしその後のコンクリート劣化事故もあり、コンクリートの維持・補修が重要な時代に。「維持・補修は、多くの事例を経験して知識と知見を深め、診断することが面白いんですよ」と業務のやりがいを語ります。「診断を間違えれば持つ橋ももたない。この橋を今後も生かすにはどうすればよいか、劣化の原因は現地で見て調査して推定して、判断することが重要です。それを若い社員にも伝承していきたい」と抱負を語ります。
桑野さんがいま取り組んでいる重要なことのひとつは、若手社員の技術力を向上させ、技術者として底上げすること。誰がどのような資格が必要か助言するなど社員の資格取得計画の管理を行います。20代の若手社員を対象に、道路構造物・基礎設計、基準書など基本的なことなど年5-6回開催。桑野さん自身、過去には橋梁設計で失敗したことや上司に怒られるなど苦労も多々ありました。「失敗から学ぶのも勉強です。やりがいがあるのは、勉強会でいかにわかりやすい資料を作るか。教科書に書かれていないことをメインに力を入れて作ります」と語ります。また、ナレッジマネジメントの重要性も指摘され、「社員個人では良い知識を蓄えていますが、共有ができていない。知識をいかに整理して活用できるか。共有できれば、皆の知識も向上するんですが」。と、試行錯誤しながら若手社員を育てているところのよう。
また、もうひとつ重要な取り組みとして、社外との共同研究があります。島根大学との共同研究で取り組んでいるのがVRを利用した建築空間の再現。社で保有しているドローン、レーザー測量機器を使用し、大学キャンパスの3次元化による防災への利活用についての共同研究です。さらに、松江高専とは、地質に関するBIM/CIM(地盤の3次元化)や、凍結防止剤による橋梁の塩害の研究もしています。「結果はいずれ土木学会で発表する予定で、島根県にも情報提供して、今後の維持・修繕工事に役立ててもらえれば」と研究が順調に進んでいる様子を話してくれました。
それら業務をこなしながら、技術部門の取締役として社長をサポートするのが桑野さんの職務。社の成長の一翼を担い、多忙な日々を過ごされています。「勉強会で育成した社員が資格をとってくれると嬉しいですね」、と笑顔で話してくれました。
個人プロフィール
- 経歴
- 1981年3月 徳島大学 建設工学科卒業
1981年4月 ㈱八雲建設コンサルタント(現エイト日本技術開発)入社
2011年8月 共立エンジニヤ入社 技術一部部長
2017年6月 技術統轄部長
2018年8月 取締役・技術統轄部長
- 実績
- 1981年~1990年:主にトンネル設計従事
1990年~2011年:主に橋梁設計、道路構造物点検、補修・補強設計に従事
2012年~2017年:主に港湾・道路構造物点検、補修設計に従事
2018年~2023年:主に技術管理、会社経営に従事 - 所属団体
- 島根県技術士会、土木学会
企業プロフィール
- 商号
- 株式会社共立エンジニヤ
- 設立
- 1986年5月
- 代表者
- 代表取締役社長 奥田真二
連絡先
※「『建設興業タイムス』を見た」、または「『しまプロ』を見た」とお伝えください。
- 住所
- 〒690-0017 松江市西津田2丁目13番7号
- 電話番号
- 0852-27-8720
- FAX番号
- 0852-28-8607
- 営業時間
- 8:30~17:00
- 定休日
- 土日祝日
- ホームページ
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